「Kegg(ケグ)」一般医療機器届出を完了



フェムテックIoTデバイス「Kegg(ケグ)」を、一般医療機器として届出完了いたしました。 これをもって、日本市場での販売が可能となります。これ以降、発売に向けて準備を行い、2024年中を目標として、一般消費者に向けた展開を目指します。

  なお、ケグは2021年より、東京大学医学部付属病院と研究協力中の医療法人財団小畑会 浜田病院(東京都千代田区、院長:合阪幸三、以下浜田病院)とも、共同で臨床試研究を実施していました。その結果については、2024年4月19日(金)15:25~16:25にパシフィコ横浜 ノースで開催される第76回日本産科婦人科学会学術講演会の「アフタヌーンセミナー5」で発表いたします。

「ケグ」について

 ケグは、米国のフェムテック企業 Lady Technologies, Inc.が開発・販売する、女性の「おりもの」の一部(子宮頸管粘液*1)の水分量をセンシング技術によって計測し、月経周期を予測・管理するためのIoTデバイス&アプリケーション。米国ではFDAに登録されている医療機器です。
 女性の体内では、排卵日が近づくと精子が子宮にたどり着きやすくするためにおりものが多く分泌されますが、この時期は粘り気があるのが特徴です。現在でも、妊活を行っている方の中には、おりものを指に取り、その水分量を確認されるということがあります。この作業を、テクノロジーを用いてデータを取りながら確認できるのがケグです。妊娠を望む人にとって大きな負担となっていた妊活タイミングの把握をサポートする最新フェムテックデバイスが、ついに日本市場に登場します。(医療機器製造販売届出番号:13B2X10428006001)

一般医療機器として届出をした背景

日本のフェムテック市場は、成長に伴い様々な事業者が参入し、2024年現在、玉石混交といわれる状況にあります。法律をはじめとしたルールの整備には時間がかかりますが、商品を選び取る消費者のリテラシーや、事業者側のモラルに依存するには限界があります。

フェルマータでは、少しでも多くのフェムテック商品を消費者の方に安心して手に取っていただけるよう、2019年の創業以来、フェムテック商品に適用できる一般医療機器の一般的名称の新設に向けた働きかけを行ってまいりました。結果としてこれまでに4つの一般的名称の創出に貢献しています。今回ケグが届出を行った「家庭用頸管粘液測定器」もそのひとつです。

▼過去の例(一部)
・尿もれ改善をサポートする「骨盤底筋訓練器具」 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000025.000053409.html
・性交渉後の精液の流出を低減して妊活をサポートする「子宮口キャップ」 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000013.000053409.html

ケグを開発するLady Technologies社とフェルマータのこれまでの歩み

出会いから足かけ6年を経て、この度の医療機器化が実現しました。

  • 2018年5月:現フェルマータCEO 杉本亜美奈が、創業前にケグ、およびLady Technologies社と出会う
  • 2019年10月:フェルマータ創業
  • 2020年6月:フェルマータが第二種医療機器製造販売業許可を取得
  • 2021年4月:東京大学医学部付属病院と研究協力中の医療法人財団小畑会 浜田病院とフェルマータが共同で、ケグの臨床試研究を開始
  • 2023年7月:厚生労働省により、一般的名称「家庭用頸管粘液測定器」が一般医療機器として指定される https://public-comment.e-gov.go.jp/servlet/PcmFileDownload?seqNo=0000256398
  • 2024年2月:フェルマータにより、ケグの一般医療機器「家庭用頸管粘液測定器」としての届出を完了

ケグの仕組みについて

月経周期を予測・確認するための新しいアプローチとして、「電気化学インピーダンス分光法 (EIS)」を用いて、子宮頸管粘液から電解質の傾向を測定しています。頸管粘液からの電解質測定が月経周期中のホルモンレベルの変化と関連することはこれまでも知られていましたが、それが月経周期予測のために有効であるということが、昨年SRI 第70回annual meetingにて発表されました。
詳細については、前述の、2024年4月19日(金)15:25~16:25にパシフィコ横浜 ノースで開催される第76回日本産科婦人科学会学術講演会の「アフタヌーンセミナー5」でも報告されます。

妊活における、日本でのフェムテック市場介在の意義

日本では不妊症に悩まされる方が多く、不妊を心配したことがある夫婦は約3組に1組、実際に不妊治療を受けている(または受けていた)夫婦は5.5組に1組いると報告されています*2。いざ妊活を実施しようとした際に、数十年前から一般的に普及している基礎体温をベースとして妊娠しやすいタイミングを図る方法以外に自宅や個人で実施可能な妊活はほとんどなく、選択肢が限られています。さらにこの方法で上手くいかなければ心身・金銭ともに負担を負いながら病院に行かざるを得ません。フェルマータではこうした状況を鑑み、妊娠を希望する方へ新たな選択肢を提供するため、2021年にオランダの企業が開発した子宮口キャップ『ファーティリリー カップ』を医療機器として国内で販売開始したほか、ケグの臨床研究等も行なってきました。

フェルマータは今後もフェムテックを通じて、女性の健康課題を解決する選択肢を増やしていけるよう、活動して参ります。

*1 頸管粘液は、膣より上部の子宮の入り口近くを満たしている液のこと。おりものの一部に、頸管粘液や膣の分泌物が含まれる。

*2 出典:国立社会保障・人口問題研究所「第15回出生動向基本調査(結婚と出産に関する全国調査)」レポートhttp://www.ipss.go.jp/ps-doukou/j/doukou15/NFS15_reportALL.pdf